「シンガポールは感染調査を徹底的にしているのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「2003年にSARSの集団感染が発生しています。」

「SARSも中国で発生したのでしたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。広東省から来た感染していた医師が、香港のメトロポール・ホテルに泊まっていたのですが、同じ階に滞在していた一人の若い女性が感染し、シンガポールへ持ち込んだようです。」

「そのときは、今と違って、SARSについては何も分かっていない状態でしたね」と町会長。

「そうなんですよ。その結果、医者や看護婦、病院の職員は、患者を隔離して、自分たちを感染から防がなければならないことに気づかなかったのです。」

「それでは、大変な事態になってしまいますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。医者や看護婦、病院の職員、患者、病院来訪者、その人達の家族の間に急速に広がってしまいました。また、基礎疾患を持った患者にも感染し、感染が分からずに他の病院に送られた患者から同室の患者に感染が広がってしまいました。」

「それでは感染を止めようがありませんね」と町会長。

「おっしゃる通りです。一般社会に感染が広がったのは、混雑した卸市場で野菜の小売業者がスーパースプレッダーだったためです。」

「スーパースプレッダーと言いますと?」と町会長。

「ウィキペディアを見ると、スーパースプレッダーの明確な定義はないようですが、2003年のSARSの場合、8人以上へ感染を拡大した人をスーパースプレッダーとしています。」

「単なるスプレッダーではなく、スーパースプレッダーが問題なのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。シンガポールは、接触者追跡調査と自宅隔離の強制執行に軍隊を使って、発症の10日前まで遡り、患者の家庭内、社会、病院、職場における接触者を全員調査しています。」

「軍隊を使って、感染経路を徹底的に調査したのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。その結果、400人を超える人が自宅隔離され、感染経路の完全な解明がされています。」

「感染経路の完全な解明によって、感染を封じ込めることができたのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。封じ込めが成功したのは、206例の『可能性例』のうち144例が、わずか5人のスーパースプレッダーとの接触によるものであることが解明されたためです。」

「『可能性例』と言いますと?」と町会長。

「SARSの原因となるウイルスが研究中で、確定診断ができなかったので、病状からSARSの感染症と推定される症例を可能性例と呼んでいます。」

「なるほど。要するに、5人のスーパースプレッダーを隔離したら、感染が終息したということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「シンガポールの感染者発見率が282.8という高い数字なのは、SARSのときのように、SARS-Cov-2の感染経路を完全に解明しようとしているためですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

2020/4/7

<謎1>
数日前、外庭の東側にある駐車場の北側に接する苔庭が荒らされていた。この苔庭は、東側の茶の木に接しているがイノシシに荒らされた記憶はない。駐車場は、位置的には、外庭にあるのだが、この苔庭は位置的には中庭にあり、通路を挟んで西隣りにキンモクセイがある。イノシシはキンモクセイの周辺の苔を好んで荒らしていた。

ところが今回は駐車場に接する苔庭が荒らされたのだ。苔庭の惨状を冷静に分析したが、どんな動物が荒らしたのか見当がつかなかった。深く掘られているところを見ると、雌のイノシシが掘ったようにも思えるし、苔が積み重なっているところを見ると、巨大な猫が荒らしたようにも思えた。猫は、ウンチとかシッコをすると、苔をかぶせて臭わないようにするのだ。

イノシシだとすると、侵入箇所があるはずなのだが、どうしても侵入した痕跡を発見することができなかった。東側の茶の木には猫が侵入できる箇所があるが、そこには超音波害獣撃退機が設置してある。猫はひどい鬱なので超音波で簡単に追い払える。しかし、念のため茶の木の根元に7メートルほどの孟宗竹を設置した。猫は陰陽に強く反応するので、過去の経験から2メートル位の細い孟宗竹が設置してあれば、そこから侵入することはない。<続く>

2023/3/20